労務・人事制度

賞与なし&残業代支給しなくてOK!?間違いだらけの「年俸制」基礎理解と導入について

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2019.09.30

こんにちは!ポケット人事編集部です!

今回は給与制度における年俸制について取り上げてみたいと思います。

 

この年俸制という言葉はよく聞くと思いますし、自社に導入してみたい、もしくは既に自社に導入しているという工務店様もあるかと思います。

 

そこで年俸制の基礎、そして年俸制のポイントを、お話していきます。

 

「年俸制」の基礎理解

年俸制とは、読んで字のごとく、1年間に支払う給与が決まっている制度です。
つまり社員の立場からすると、年収が決まっている制度であると言えます。

 

そのため、社員の年俸を決める際に適切な決め方が求められます。

 

ちなみに月給制との違いをよく聞かれますが、年単位か月単位かどちらで決めるかという以外には、あまり変わりません。

 

しかし、職種や業界によってはメリット・デメリットがはっきりするため、下記を読み進めていただいて、検討の余地があるのであればぜひ導入してみてくださいね。

 

経営幹部や設計職・工事職の場合は比較的年俸制は導入しやすいですが、営業職の場合には「受注しても給与が上がらない」または「受注しなくても給与が保障されている」という状況になりかねませんので、注意する必要があるでしょう。

 

年俸制は残業代を支払わなくてもいいの?

また、年俸制を導入すれば残業代や休日出勤手当を支払う必要がなくなるという誤った認識にも注意が必要です。

 

年俸制では、総額のうちどれぐらいが残業代にあたるのかを明確にしておかなければ、年俸が残業代や休日出勤手当の計算根拠(つまり年俸を12分割したものが基本給)として扱われてしまいます

 

そのあたりは注意して計算しておかなければならないので、ぜひ頭に入れておいてくださいね。

 

気をつけないと、年俸制を導入することで残業代や休日出勤手当を削減できるどころか、逆に大幅に増えてしまいますので、ご注意くださいね。

 

年俸制は年に1回払えば良いの?

なお、年俸制の支払い方は2つのパターンがあります。年に一度支払うわけではないので、注意してください。

 

①年俸を単純に12分割して毎月支払うパターン
ーこちらは非常に分かりやすいですよね。

 

②年俸を14分割や15分割し、そのうち12の分を毎月支払うほか、残りを夏と冬に支払うことで賞与なような形にするパターン
ーこの支払い方をすることで、年俸制でも賞与の様な支払い方をできることが出来ます。

 

ちなみに、「賞与は支払わなくても良いの?」といったご質問も非常によくいただくのですが、上記の通り年俸の中に賞与を含むか、年俸とは別に支払うかという2パターンがありますので、こちらも導入にあたり注意したいところです。

実際に年俸制を導入する際のポイントは?

ここまで見てきましたように、年俸制は言葉で聞くよりも複雑な制度です。

 

上手く導入すれば会社・社員双方にとってメリットがありますが、導入の仕方を誤りますと会社・社員双方にとって悪い結果につながってしまいます。

 

年俸制を導入する際は、安易に導入するのではなく、目的や方向性をしっかりと持った上で導入されることをお勧めします。

では、実際に導入する際には、どこに注意をして制度設計を行っていったらよいのでしょうか?

年俸の設定、心配な点は?

この段階で、多くの工務店様が気にされるポイントとしてあげられるのが、営業担当者の年俸の設定ではないでしょうか?

 

ご心配な点としては
・年俸にしてしまうと給与が保障されているのでダラける社員が出る
・今期の努力が反映できないので、頑張った社員に報いる事が出来ない
などといった点でしょうか。

 

ただ、そこには大きな誤解があります。

 

年俸と聞くと多くの方は1年ごとに決める給与総額という感覚や認識をお持ちだと思いますが、ここでお伝えする制度では単年毎にブツ切りとなった給与総額を設定するということではありません

 

年俸設定の方法について

設定の方法には様々ございますが、今回はその一例を御紹介させて頂きます。

 

【3カ年平均型 年俸制度】

直近3年間の平均の営業成績(粗利実績額)の10%(数値は各工務店様の実態に合わせて設定して頂きます。)を基本年俸として、その12分の1を月額支給する制度

 

この方法の狙い
・直近3年間の平均をとることで、給与の業績連動と安定化を両立させることができる
・継続的に業績に貢献出来る人材に報いる会社である、という面を示す一つの意思表示ができる

 

当期の成績については、業績賞与として、半期ごとに粗利実績額の5%(数値は各工務店様の実態に合わせて設定して頂きます。)を配分します。

 

したがって、今年の努力は、賞与と来期以降3年間の基本年俸に反映されることになります。

プロ野球選手でも1年間だけ素晴らしい成績を上げた選手と、長年にわたり成績を上げ続けている選手を比べれば、後者が世間から一流選手として認められ、相応の年俸を手にします。

 

営業社員も全く同じです。

 

会社としては継続的に業績に貢献してくれる社員に報いる義務があります。

 

単年度毎の設計では会社の業績・社員の生活共に不安定になりますが、継続した制度にすることで、双方にメリットをもたらしてくれます。

 

たいてい失敗に終わります!?

さて、ここまで年俸制度について色々と述べてきましたが…

残念ながら、実際はたいていの場合、新たに導入した制度は、”失敗に終わります!”

 

これだけ説明して、今さらとお思いかとは思いますが、過去に制度導入で失敗をご経験された工務店様も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

 

その理由は大きく分けると以下の項目に分解されます。

 

1.目的・目標の不明確「何の為に制度を導入するのか?」
2.目的・目標と内容の不一致「目的・目標を達成する為の手段として相応しくない」
3.社員への説明不足・理解不足「制度は会社都合のツールではない」
4.準備とタイミングを見極める「機が熟していない状態では効果もでない」
5.人事・給与制度は万能ではない「制度以外の部分へも目を向ける」

 

既に、人事制度を運用している工務店様も、これから導入を検討している工務店様も以上の点に目を向けて、もう一度、制度設計を考えて頂くことで、より自社にとって意味のある実用的な制度を設計する事が出来るでしょう。

 

人事制度・給与制度は上手く導入すれば会社・社員双方にとってメリットがありますが、導入の仕方を誤りますと会社・社員双方にとって悪い結果につながってしまいます。

 

導入の際には他社のマネ事や、既製品として世の中に出回っている制度ではなく、自社の目的や方向性をしっかりと持った上で自社オリジナルの制度の設計・導入されることをお勧めします。