評価は相対評価ではなく絶対評価…は実現可能なのか?評価で大切なたった1つのこと

こんにちは!ポケット人事事編集部です!

今回は人事評価制度と給与設定に関する内容をお話ししていきます。

 

人事評価は絶対評価?相対評価?

 

給与を決定する一つの基準として、人事評価制度を導入されている工務店様も増えてきていますが、この評価の際にどのような基準で評価されているでしょうか?

 

近年では、評価は相対評価ではなく絶対評価にしなければいけない。という内容が主流になっていますね。

 

以前は、学校の通知表も相対評価でしたが、今では○点以上はA、○点から○点はBなどのように、基準を満たせば全員がA評価になってもよいというのが絶対評価になっています。

 

絶対評価は評価基準が明確に示すことができ、社員の納得感を得ることや、モチベーション管理、達成度評価、能力評価という意味では一定の意味を持ちます。

 

では、実際に評価制度を導入した際に、工務店様で絶対評価を行うことは可能でしょうか?

 

私の見解としては、非常に難しいと考えています。

 

工務店の人事評価には相対評価が向いている

その理由は、給与原資には限りがあるからです。

 

絶対評価を行うという事は、基準を満たした人には、それ相応の報い(金銭の場合が多い)をしなければいけません。

 

評価はしたけど、それが何にも反映されなけれは社員の不満が高まり、評価を行うことが逆に社員のモチベーションを下げる結果につながりかねません。

 

その為、評価に伴い、評価基準に見合った昇給を強いられることとなります。

 

仮に、社員50人の工務店様で全社員が昇給基準をクリアし、一人平均で月額1万円の昇給となった場合、賞与も含めると年間で1,000万円近い人件費の増額となります。

 

バブル期のように、右肩上がりで、どんどん昇給させても企業も増収増益だから大丈夫!
という時代であれば、この方法で問題ありません。しかし、そうはいかないのが現実です。

 

そこで、私は工務店様の現代における経営では相対評価をお勧めします。

 

相対評価の一番のメリットは業績に応じ、企業側で自由に昇給予算を設定できるところにあります

 

この方法であれば、業績が良かった年には良かったなりの昇給予算を悪かった年には悪かったなりの予算を設定できます。

 

大切なのは納得の評価制度+フィードバック

 

ここまで、お話しすると結局はえんぴつ舐めの評価(社長や評価者の感覚に基づく評価のことですね)と変わらないじゃないか。

とお感じになる方もいらっしゃるかもしれません。実際その通りなのです。

 

・元気があっていい
・いつも遅くまで残って働いていた
・後輩の面倒をよくみていた
・何となく仕事が頼みやすい
・報連相がしっかりしているので、任せておいても安心

 

こんな方はなんとなく評価してしまいたくなりますよね。

人が人を評価する以上、完璧なものは存在しません。

 

極論ですが、中小企業における人事評価制度とは、相対評価(えんぴつ舐め)をルールに乗せて、社員の満足ではなく、納得感を高める為の資料集め、資料作りの作業です。

 

それでは、社員が報われない…会社の搾取だ…などと言う方もいるかもしれませんが、私は、会社が社員に報いる最善の方法は事業の継続だと考えています

 

絶対評価で一時的な昇給増や満足感を与えるよりも、相対評価により会社に無理なく着実に成長できる給与制度のスタイルが企業の長期的な繁栄、敷いては社員の幸せにつながると考えています。

 

また、本当に時間を割かなくてはいけない部分は、フィードバック制度の確立です。

重要なのは評価結果をどのように本人に伝えるか、なんです。

 

数百人、数千人規模の会社であれば評価にも「合理性」・「能率性」の原理・原則を取り入れて時間を短縮して実施することも必要です。

 

しかし、100名以下の中小企業様においては、「納得性」・「合意性」の原理・原則を守り、社員の皆さんに対して一人ひとり、しっかりと個別の面談・フィードバックの機会を設けることが重要です

 

また、面談・フィードバックを受けて実際に社員の皆さんがどのように感じたかについてのアンケートを実施することもお勧めしています!

 

面談の時間だけでは伝えられなかったことや評価者や会社に対する不満や改善提案など様々な意見を救い上げることができる効果的なツールとして是非ご活用下さい。

 

相対評価での昇給額設定方法

工務店様の現代における経営では相対評価をお勧めしていますが、その手法を表を交えて1つご紹介いたします。人事評価制度と昇給額について更に掘り下げた内容をお話ししていきます。

上の表は、評価を行った際に部門(職種)毎にランク分けをするための資料です。

 

この表を使う際の肝となるのが、ランク別人数の設定です。方法はいたって簡単です。

 

例えば、今期の営業は棟数も予想を上回るペースで取れたので、SやAランクの人数を多くして、Dランクは0人にしよう。

 

逆に工務は発注ミスやクレームが相次いでいたので、Sランクは0人としよう。というように、業務の実態や業績を反映させて人数を決めるという方法です。

 

そして最後に、決められた人数の枠に評価順に振り分けしていきます。

 

ここまでは、いわゆる相対評価。順位づけですが、ここから給与に反映させるポイントをお伝えします。

ここでのポイントは昇給原資を守る。という点にあります。

 

例えば、今期は会社として10万円(月額)の昇給原資が用意できるとします。
この原資を適正配分する仕組みとして、ポイントと人数の振り分けが重要になります。

 

一般のSランクは50ポイント、係長のDランクは50ポイントというように役職別・評価ランクべつにポイントが決まります。

 

全社員のポイントを合計したものが今回の全社ポイントとなります。

 

仮に社員数15名の工務店様で全社ポイントが770ポイントだとした場合、昇給原資10万円ですので、1ポイント単価は130円となります。

 

あとは、この1ポイント単価130円を再度、ランク別のポイントに乗じて昇給金額が決定します。一般のSランクであれば、(130円×50ポイント=6500円)となります。
この手法であれば、昇給原資をオーバーする可能性は皆無です。

 

実際の運用の際には、部門別・年齢別・役職別にポイントの比重をズラすことで、現実的かつ理想的な予算管理が可能となります。

 

評価と給与の関係をしっかりと把握しコントロールすること

何となく、えんぴつ舐めで決められていた給与額もこのシステムに落とし込むことで、一定の基準を持って運用することが可能となります。

 

制度改定をご検討の際には是非参考にしてみてください!

賞与なし&残業代支給しなくてOK!?間違いだらけの「年俸制」基礎理解と導入について

こんにちは!ポケット人事編集部です!

今回は給与制度における年俸制について取り上げてみたいと思います。

 

この年俸制という言葉はよく聞くと思いますし、自社に導入してみたい、もしくは既に自社に導入しているという工務店様もあるかと思います。

 

そこで年俸制の基礎、そして年俸制のポイントを、お話していきます。

 

「年俸制」の基礎理解

年俸制とは、読んで字のごとく、1年間に支払う給与が決まっている制度です。
つまり社員の立場からすると、年収が決まっている制度であると言えます。

 

そのため、社員の年俸を決める際に適切な決め方が求められます。

 

ちなみに月給制との違いをよく聞かれますが、年単位か月単位かどちらで決めるかという以外には、あまり変わりません。

 

しかし、職種や業界によってはメリット・デメリットがはっきりするため、下記を読み進めていただいて、検討の余地があるのであればぜひ導入してみてくださいね。

 

経営幹部や設計職・工事職の場合は比較的年俸制は導入しやすいですが、営業職の場合には「受注しても給与が上がらない」または「受注しなくても給与が保障されている」という状況になりかねませんので、注意する必要があるでしょう。

 

年俸制は残業代を支払わなくてもいいの?

また、年俸制を導入すれば残業代や休日出勤手当を支払う必要がなくなるという誤った認識にも注意が必要です。

 

年俸制では、総額のうちどれぐらいが残業代にあたるのかを明確にしておかなければ、年俸が残業代や休日出勤手当の計算根拠(つまり年俸を12分割したものが基本給)として扱われてしまいます

 

そのあたりは注意して計算しておかなければならないので、ぜひ頭に入れておいてくださいね。

 

気をつけないと、年俸制を導入することで残業代や休日出勤手当を削減できるどころか、逆に大幅に増えてしまいますので、ご注意くださいね。

 

年俸制は年に1回払えば良いの?

なお、年俸制の支払い方は2つのパターンがあります。年に一度支払うわけではないので、注意してください。

 

①年俸を単純に12分割して毎月支払うパターン
ーこちらは非常に分かりやすいですよね。

 

②年俸を14分割や15分割し、そのうち12の分を毎月支払うほか、残りを夏と冬に支払うことで賞与なような形にするパターン
ーこの支払い方をすることで、年俸制でも賞与の様な支払い方をできることが出来ます。

 

ちなみに、「賞与は支払わなくても良いの?」といったご質問も非常によくいただくのですが、上記の通り年俸の中に賞与を含むか、年俸とは別に支払うかという2パターンがありますので、こちらも導入にあたり注意したいところです。

実際に年俸制を導入する際のポイントは?

ここまで見てきましたように、年俸制は言葉で聞くよりも複雑な制度です。

 

上手く導入すれば会社・社員双方にとってメリットがありますが、導入の仕方を誤りますと会社・社員双方にとって悪い結果につながってしまいます。

 

年俸制を導入する際は、安易に導入するのではなく、目的や方向性をしっかりと持った上で導入されることをお勧めします。

では、実際に導入する際には、どこに注意をして制度設計を行っていったらよいのでしょうか?

年俸の設定、心配な点は?

この段階で、多くの工務店様が気にされるポイントとしてあげられるのが、営業担当者の年俸の設定ではないでしょうか?

 

ご心配な点としては
・年俸にしてしまうと給与が保障されているのでダラける社員が出る
・今期の努力が反映できないので、頑張った社員に報いる事が出来ない
などといった点でしょうか。

 

ただ、そこには大きな誤解があります。

 

年俸と聞くと多くの方は1年ごとに決める給与総額という感覚や認識をお持ちだと思いますが、ここでお伝えする制度では単年毎にブツ切りとなった給与総額を設定するということではありません

 

年俸設定の方法について

設定の方法には様々ございますが、今回はその一例を御紹介させて頂きます。

 

【3カ年平均型 年俸制度】

直近3年間の平均の営業成績(粗利実績額)の10%(数値は各工務店様の実態に合わせて設定して頂きます。)を基本年俸として、その12分の1を月額支給する制度

 

この方法の狙い
・直近3年間の平均をとることで、給与の業績連動と安定化を両立させることができる
・継続的に業績に貢献出来る人材に報いる会社である、という面を示す一つの意思表示ができる

 

当期の成績については、業績賞与として、半期ごとに粗利実績額の5%(数値は各工務店様の実態に合わせて設定して頂きます。)を配分します。

 

したがって、今年の努力は、賞与と来期以降3年間の基本年俸に反映されることになります。

プロ野球選手でも1年間だけ素晴らしい成績を上げた選手と、長年にわたり成績を上げ続けている選手を比べれば、後者が世間から一流選手として認められ、相応の年俸を手にします。

 

営業社員も全く同じです。

 

会社としては継続的に業績に貢献してくれる社員に報いる義務があります。

 

単年度毎の設計では会社の業績・社員の生活共に不安定になりますが、継続した制度にすることで、双方にメリットをもたらしてくれます。

 

たいてい失敗に終わります!?

さて、ここまで年俸制度について色々と述べてきましたが…

残念ながら、実際はたいていの場合、新たに導入した制度は、”失敗に終わります!”

 

これだけ説明して、今さらとお思いかとは思いますが、過去に制度導入で失敗をご経験された工務店様も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

 

その理由は大きく分けると以下の項目に分解されます。

 

1.目的・目標の不明確「何の為に制度を導入するのか?」
2.目的・目標と内容の不一致「目的・目標を達成する為の手段として相応しくない」
3.社員への説明不足・理解不足「制度は会社都合のツールではない」
4.準備とタイミングを見極める「機が熟していない状態では効果もでない」
5.人事・給与制度は万能ではない「制度以外の部分へも目を向ける」

 

既に、人事制度を運用している工務店様も、これから導入を検討している工務店様も以上の点に目を向けて、もう一度、制度設計を考えて頂くことで、より自社にとって意味のある実用的な制度を設計する事が出来るでしょう。

 

人事制度・給与制度は上手く導入すれば会社・社員双方にとってメリットがありますが、導入の仕方を誤りますと会社・社員双方にとって悪い結果につながってしまいます。

 

導入の際には他社のマネ事や、既製品として世の中に出回っている制度ではなく、自社の目的や方向性をしっかりと持った上で自社オリジナルの制度の設計・導入されることをお勧めします。